発電効率61%のスーパー火力発電所

 しばらく記事の間が空いてしまいまして、申し訳ありません。
 身辺もごたごたしていたもので。

 これまでは、再生可能エネルギー、主に自然エネルギーについて述べてきましたが、未来科学に属する話の前に、既存のエネルギーシステムの中での効率化について触れておきたいと思います。

 まず、古典的発電システムである、水力発電の場合、発生する電力は、水の量と落ちてくる落差でほとんどが決まります。

 落ちてくる水のエネルギーを、可能な限り効率よく回転エネルギーに変えて、発電機を回すための鍵になるのは、水車です。
 しかし、この分野は、もうかなり昔から研究されていて、今以上に効率よく発電できる水車はもう無いと言ってよいでしょう。 今後、素材・金属工学が進歩して、より軽くて強度が高い水車も出てくるだろうが、あまり大きな発展の余地は無いと思われます。

 しかし、近年、非常に大きな、エネルギーの効率利用を遂げているのが、液化天然ガス燃焼の火力発電所です。
 過去には、まずボイラーで水を沸かし、高温高圧の蒸気を作り、それをタービン発電機に吹き付けて、回転させて発電をしていました。
 これは、石炭火力発電、石油火力発電、天然ガス火力発電、そして原子力発電でも、基本的に同じでした。

 これらの発電方法での「発電効率」は、元となる燃料(化石燃料原子力)から発生する全エネルギーのうち、昔は30%台しか、電力にすることができませんでした。タービン技術の進歩で、少しずつ上昇はしていましたが、40%前後が限界で、壁に突き当たっていました。
 残りの過半のエネルギーは、ロス及び、温排水、排気の形で海に無駄に放出されていたのです。

 しかし、ここ15年ほどで拡大しつつある発電方法で、天然ガスを用いた、「コンバインド・サイクル火力発電」というものが出てきました。

 これは、まず、天然ガスを高温で燃焼(ほとんど爆発)させ、その膨張エネルギーを直接タービンに伝えて、発電する。ガスタービン発電が第一段階。
 さらに、そこで使われた、高温高圧のガスで、ボイラーを熱し、そこで蒸気を作り、蒸気タービンを回転させる。
 つまり、ガスの爆発のエネルギーと、熱エネルギーを2段階に分けて取り出すことにより、熱効率を61%とという高さにまで、飛躍的に増大させることができたのです。
 天然ガスの場合、他にも、冷却されて、液化されていたものを、気化させる際の膨張力で、少しばかりの発電を行ってもいるので、3段階にエネルギーを取り出すことにより、高い効率を実現しているのです。

 さらに、一昨日読んだ新聞によると、この、「コンバインド・サイクル火力発電」(最近のは、「モア・アドバンス・コンバインド・サイクル」=「MACC」発電という。)から出てきた、まだ熱を持った蒸気を、蒸気や熱を製品製造過程で用いる工場に供給することで、さらにエネルギーを効率的に使うという話が載っていました。

 これは、化石燃料を使用しているのには変わりは無いけれども、同じ量の化石燃料から、ふた昔前の2倍のエネルギーを取り出すことに成功していることを意味します。
 これによる、化石燃料の節約効果は大きいはずです。

 石油でも、やや難しいが似たようなことはできるし、石炭の場合、石炭ガス化が簡易にできるようになれば、同じことができます。
 こういうのを、「技術の進歩」というのでしょう。

 このような「効率」を考えた、エネルギーの利用は、今後も拡大していくでしょう。その分、化石燃料の可採年数は延びることになります。

 しかし、それでも、やがては化石燃料が枯渇することは確実であり(そうではないという説=炭化水素燃料・無機起源説、もありますが、仮説の域を出ておらず、安全側に立って、「枯渇はする」と考えておいたほうが良いでしょう。)、従来述べてきた、再生可能エネルギーの積極利用は、やはり進めなければならないと思うのではありますが。