再生可能エネルギー生産・輸送・消費システム総論

 いよいよ、本格的に、再生可能エネルギーの開発と利用に関する私の意見を書かせていただきます。

 まず、私の使う、再生可能エネルギーの定義ですが、既存の原子力は含みません。そして、石油、石炭、天然ガスのような、使用してしまえば熱エントロピーとなって最終的には活用できなくなる、化石燃料も含みません。ただし、バイオエタノールは含みます。

 次いで、「エネルギー」の範囲ですが、おもに電力について論じていきますが、私が視野に入れているのは、熱を得るための燃料(家庭用暖房を含む)。および、自動車、船舶、航空機の燃料まで考えます。
 特に、将来の航空機の燃料についてまともに論じているものを見たことが無いので、問題提起的に取り上げてみます。

 私のコンセプトでは、まず、太陽光(含む太陽熱)、風力、波力、潮汐力なの自然エネルギーによる発電をメインにします。
 太陽光はもちろん、風、波は、やはり太陽からのエネルギーが大気や海洋に運動エネルギーを与えているもので、密度は薄い物の、ほぼ無尽蔵と考えられます。潮汐力は、太陽、月の重力ですね。これも、太陽と月の寿命がある限り存在します。

 一つ目の課題は、これらをどう利用可能なレベルにするか?どう電力に変換するか?ということでしょう。
 個々の発電技術については、細かくは触れませんが、新産業育成の観点も持つため、今後の技術開発に期待する部分も多いと思います。

 次の課題は、運用です。
 以前の記事のコメント欄へのご質問にもお応えしましたが、出力が安定しない風力発電を、いくら規模を大きくして行っても、直接送配電網に接続すると、電圧降下を引き起こし、電力系統全体がダウンします。
 つまり、再生可能エネルギー発電装置でも、大きければいいと言う物では無いのです。小さい物をたくさんつけても、同じことは起こりえます。
 また、太陽光は、夜は発電できません。天候にも左右されますし、太陽光発電ユニットの上に積雪があれば、やはり発電できません。
 このような問題をどのように解決していくか、です。

 さらに、現在、「スマートグリッド」という言葉がもてはやされ始めています。
 「グリッド」はせまい意味では電極を指しますが、ここでは、送電線網のことを指すようです。
 「スマートグリッド」の定義は、通信技術、ITを用いて、多くの電源を有機的に結合させて、効率的に「エネルギー」(電力だけではない)の運用を図る物とお考えいただければ結構です。他方、「スマートグリッド」の定義、および概念は、まだ未確定で、特定の発明や装置がすでにあるわけでは無いです。
(参照:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89 )

 私が論じていく過程では、「スマートグリッド」については、大きくは触れません。ただ、論じていく中で、各種電源の有機的連携や、電気エネルギーを水素やバイオエタノール製造に使う、などの考え方も用います。結局は、私も、自分なりの考えでの「スマートグリッド」を指向していくことになります。

 あと、電力の中間貯蔵の概念を取り入れます。技術的には中規模までのものなら(2000Kw程度のナトリウム・イオン電池など)、すでにあります。常温超電導の技術などで、さらに電池の信頼性、効率アップが図られれば、上記のように不安定な出力の再生可能エネルギーを、電力系統につなぐ中間に、電池をはさむことで、安定的な供給を図るプランも策定します。

 まとめて簡単に書きますと、

 電源(再生可能エネルギー発電) ⇒ 電池に蓄電または、可燃物(水素、バイオエタノール)製造 ⇒ 貯蔵、輸送 ⇒ 需要地で目的に応じて使用。

 と言うことで、この流れ全体を、スマートグリッドの考え方で結び付けていくのです。

 ただ、当面の間は、火力、水力、原子力は、残ると思います。それをも包含した、地域、国家の全体的なエネルギーの在り方を考え、徐々に理想に近づけていくことを目指します。

 やがては、再生可能エネルギーの利用が、産業の動力源、家庭用電力のもと、乗り物の燃料など、あらゆるエネルギー使用の分野に及ぶことを目指します。

 では、次回から、現時点での、再生可能エネルギー開発の実状について議論を進めていきます。

 なお、ネット・ジャーナリストを自称(あくまで自称)する、リチャード・コシミズの言う、「純粋水爆」、「常温核融合」は、検討しません。デマだからです。この件については。、質問があっても一切お受けしません。
 詐欺師まがいの言説に惑わされないようにすることが大事です。

 他方、国際研究が進められている、熱核融合発電は、将来のベース電源として、期待していることも表明しておきます。ただし、熱核融合発電については、この連続記事の最後に触れるにとどめます。

 では、次回は、「現在実用化されている、再生可能エネルギーによる発電技術」について触れていきます。