なぜ、今、「再生可能エネルギー」、「環境技術」、重視か?

 昨日のエントリーで、再生可能エネルギー自然エネルギー利用)が、なぜ大規模に普及してこなかったのかの、基礎的な理由を述べた。再生可能エネルギーの問題点、克服するべき課題である。

 今、日本で、発電電力量の4割近くを占める原子力発電の実用化、商用化の時期と、再生可能エネルギーの実用化研究の開始時期は、ほぼ重なっている。
 当時は、石油の枯渇が懸念され(2度にわたるオイルショックの恐怖がそれに拍車をかけた)、原子力も含めた、次世代エネルギーへのさまざまな思考実験が行われた。

 しかし、本格的に実用化されたのは、核廃棄物の問題を先送りにしたままでの、核分裂発電だけだった。
 私は、当時の状況からして、また、資本主義の考え方からして、大規模発電がコンスタントに可能な核分裂原子力発電が普及したこと自体を否定はしない。

 だが、同じく昨日のエントリーで書いた、石油枯渇への恐怖が遠ざかる(去ったわけではない。あと100年はもたないのは間違いない。)中、原子力発電の普及で満足してしまい、未解決の課題の残る、再生可能エネルギーの利用、普及が進まなかったのが、これまでの状況である。問題が去ったわけではない、忘れられているだけなのである。

 では、今、なぜ再び、再生可能エネルギーに関する研究や技術開発、議論が活発化し始めたのだろうか?

 私は、そこには3つの理由があると思う。

 1つは、純粋に技術の進歩により(たとえば、太陽光発電半導体の効率アップなど)、商売になるようになってきたからである。この動きは今後も拡大するだろう。

 次いで、バイオエタノールの話題のように、石油代替エネルギーが、ブラジル(サトウキビを原料とする)、アメリカ(トウモロコシを原料とする)などで活発に研究され始め、実用化も進んできた経緯がある。
 しかし、食料を原料とする今の第一世代バイオエタノール技術は、石油ガブ飲みのアメリカ型自動車社会を支えるために、飢餓人口が世界の四分の一を占める現状で、許されることとは私は思わない。
 この点は、次世代バイオエタノール生成技術が進められており、廃材や紙ゴミなどからエタノールを得る手段が研究されている。

 そして、最後の、そして一番大きな、再生可能エネルギー技術進展へのインセンティブは、二酸化炭素を含む、温暖化ガスの発生の無いエネルギー源として、また、新興工業国、そしてそれに続く発展途上国が、今の先進国並みの経済、生活を得ようとすれば、間違いなく石油の枯渇が早まるとともに、温暖化の問題も深刻になるであろうこと。
 そこで、途上国に追い上げられている日本は、自動車や電機など、同じ土俵では、競争に勝てないとして、新たな産業発展分野、日本でなければできない新しい技術革新により、新たな産業需要の創出、そして雇用や経済発展の基礎にしようとしはじめているのである。
 それが、民主党の、国家戦略室の描く、新たな成長戦略である。

 また、再生可能エネルギーだけでなく、環境保全技術、公害予防、無害化の技術も、日本は痛い経験をして身につけてきた。
 これらの技術による、新たな産業基盤の創出が掲げられているのであり、私はこれを支持する。

 整理する。

〇 石油は必ず枯渇する。新興国、途上国が発展するにつれ、枯渇の時期は早くなる。その代替を急がねばならない。(特にあまり触れられていないが、今のままでは、ジェットエンジンは、使えない技術になる。エタノール燃料によるレシプロ機か、水素ロケット機以外の飛行機が空から消える。)

〇 再生可能エネルギーが利用可能なレベルにまで成熟しつつある。とくに温暖化ガス排出の無い、再生可能エネルギーの開発は、喫緊の課題になっている。

〇 上記の2点に、環境技術(公害予防技術)などを、日本の新たな山禦9う金盤として育成することしか、加工貿易立国の日本が生き残る手段が無い。

 単純化すると、この3点に集約できるかと思う。

 なお、地球温暖化仮説における、二酸化炭素の問題について、ブログ界では、懐疑論がにぎやかである。にぎやかであるわりに、論理的な、温暖化を否定する意見はどこにも見当たらない。
 やれ、二酸化炭素悪玉説は、原発推進派の陰謀云々。地球はいま、寒冷化に向かっている。などなど、言葉だけは踊るが、具体的で、科学的な、温暖化否定、または二酸化炭素温暖化はありえない、という意見にはお目にかかったことが無い。

 地球の平均気温が20世紀初頭から上がり続けているのは、事実である。そうではないと言う人は、その証拠を示さねばならない。
 確かに、地球は太陽の活動の変化により、ある程度の幅で、温暖期と寒冷期を繰り返してきたのは事実だが、本来、寒冷期に向かうはずと言われる現在(太陽において黒点の発生が見られず、太陽活動が一時的に衰えているのは事実らしい。)、なぜ、地球の平均気温が上がり続けているのか?ツバルなどの島国が海面上昇により水没にひんしているのか?

 この理由を説明するのは、20世紀以降の工業化による、人類の活動が、地球環境に影響を与えていると考えるほかに無いのである。

 よって、私は、二酸化炭素温暖化陰謀論者を全否定する。
 その前提の上に立ち、環境技術の発展、再生可能エネルギーの開発推進を目指していくべきだと主張する。

 この連続記事は、まだまだ続く。最後は若干SFじみた話にまで行くが、それが可能になれば、人類の持続的な発展と、環境の保全を両立させることができるはずである。

 夢は描かなければ実現しない。
 他者の主張が気にいらないと、たたくだけでは、何も生まれない。
 私は、現実に立脚しつつも、夢を描いて行きたい。

 明日以降は、今、開発が進んでいる、再生可能エネルギーを個々に取り上げ、紹介していきたい。特に、運用について、個人としてのプランがあるので、それも紹介したい。
 さらにその後、未来技術に属するものにも触れていく。