素人の考える、沖縄米軍基地不要論 (多分、その1

 この項は、思いついたままに書き始めたもので、どれくらい長くなるかはわかりません。2,3回にはなろうかと思います。

 さて、今、この話題で特に重要なのは、沖縄の普天間米軍海兵隊基地を、グァムに要員は移動、しかし基地機能は、沖縄県名護市の、現在も米軍の訓練用基地となっている、キャンプシュワブ沿岸に、飛行場つきの新基地を作り、確保すること、についての問題になるのだろう。

 私としては、この件に、沖縄の「やんばる(野原)」と呼ばれる北部原生林の中の、高江と言う小さな集落の周辺に、「ヘリバッド」と名乗る、事実上の海兵隊用、V-22オスプレイ」兵員輸送・降下用機運用のための新基地建設とも絡めて論じてみたい。

 まずは、辺野古新基地に関する、直近の情勢である。
 3K(臭い、汚い、けがらわしい)新聞や、読売新聞、およびその系列の各種メディアのどれをとっても、狂乱状態にあるが、その原因は、民主党新政権が、岡田外務大臣や北沢防衛大臣が、移転決定早期決着を急ぐ中、アメリカ側が「12月18日までに、YesでもNoでも良いから、結論を出すように」と要請してきて、それに対して、鳩山首相が、県外を含め、他の場所への移転先を探す、っという見解を出したことにある。

 鳩山首相が決めたのは、「決着しないことを決めた」はずなのだが、その直後の自民党、谷垣総裁との会談で、ややぶれるなど、相変わらずふらふらしているように見えるが、外交面でいえば、「普天間辺野古移設は事実上白紙」と表明したと思って間違いないだろう。
 余談だが、おぼっちゃまの鳩山首相は、「誰からも嫌われたくない」という子供じみた性格があるように見える。同じおぼっちゃまでも柄の悪い麻生とは、どっちも悪いが、全く違う。

 そして、狂乱マスコミたちは、「日米同盟の危機」、「日米間のヒビが拡大」等々、連日騒ぎまわっているが、当のアメリカはすでにクリスマス休暇に突入し、何か具体的な有力者の反応は出されていない。

 アメリカ大使館員が否定する、「ルース大使が激怒した」、とか言うようなことを、3Kが垂れ流したが、どうもそういうことも全くないらしい。
 3Kは見たこともない、記者が入ったこともない場所や会議で起きたことを、でたらめに書いているから、今後一切読むべきではないと思う。保守系の人にとってすら有害。購読している方は、止めることをお勧めする。

 さて、そもそものことの起こりを、私がうろ覚えの中からひねり出してみると、普天間基地と言うものは、日本敗戦後、沖縄の人の土地を無断で接収してアメリカ軍が作った、海兵隊の基地である。
 しかし、戦後、長い時間がたつにつれ、周辺に住宅が進出し、大学などもでき、騒音の問題が顕在化した。
 そして、クリントン政権の当時、市街地にある普天間基地を、沖縄県中部の辺野古地区に移転させる話が持ち上がった。

 しかし、クリントン政権時代にそれは実現せず、「戦争屋」ブッシュになり、ブッシュ就任直後の9.11事件をきっかけに、アメリカは「事実上の対イスラム戦争」に突入した。そのため普天間基地は出撃基地のひとつとして重要になり、移転云々と言う話は遠ざかった。

 ここで、「」付きで、事実上の対イスラム戦争、と書き、「テロとの戦い」という、アメリカの公式の表現を使わないのには2つの理由がある。
 1つは、イラク戦争テロとの戦いでは無かったはずであるから。大量破壊兵器保有疑惑をかけられたイラクに、石油会社と密接な関係にある、ブッシュ大統領、チェイニー副大統領が、自分たちの利権を得るためと、イスラエルへのミサイルなどの脅威を排除する目的で行った戦争であるから。
 そして、それに先んずるアフガニスタン侵略もまた、「テロリストのアルカイダをかくまっている」という「疑い」のみで、イスラム原理主義組織タリバンアフガニスタンを実効支配し、いくつかの国からの承認も得ていた)政権を、大規模な空爆で崩壊させたのがアフガニスタン戦争であり、これは、戦争をし続けていないと、経済が崩壊すると言われるアメリカの経済構造が、アフガニスタンを、そして、狂信的キリスト教原理主義者であるブッシュが、「神の戦争」として、イスラム原理主義政権のタリバンをたたきつぶすために行った戦争だと言いきれる。

 つまり、開戦まで、イラクが世界地図上のどこにあるかすら知らなかったと言われるブッシュが、その宗教的情熱を、多数の詭弁と利権にくるんで行った、「事実上の対イスラム戦争」と、私は呼ぶことにしている。
 もし、アメリカの大統領の任期が最大8年でなければ、ブッシュはイランにも攻撃をしただろう。また、同じ共和党の後継、マケイン=ペイリンが政権を取っていても同じことだっただろう。

 話が沖縄の基地からそれたが、つまり戦争がはじまり、海兵隊が忙しくなったので、普天間移設の件は、辺野古という候補地が上げられたまま、宙づりの状態が続いていたのではないかと思う。
 その間、米軍ヘリの市街地への墜落などの事故もあり、アフガン侵略は手詰まりに。イラク戦争は過ちだったと自ら認めることになったブッシュは、極東及び西太平洋における、軍事的再配置に動く。背景には、日本の「思いやり予算」の存在と、通信、兵器の性能の進歩から、世界中に基地を置くよりも、中核機能をいくつかの点に集約し、そこから逐次すばやく出撃できる態勢を作ろうと言う、「米軍再編」である。

 具体的には、沖縄にいる、アメリ海兵隊第三軍団は、その主力をグァム等に移し、家族なども移動する。
 グァムは昔から、アメリカ海軍の原子力潜水艦の重要な基地だったが、そこに海兵隊を移す。
 しかし、世界軍事支配の妄念に取りつかれていたブッシュは、日本が作ってくれると言う新基地(辺野古)を、「いらない」などとは口が裂けても言わない。
 さらに、ブッシュになってから配備された、垂直離着陸機である、「オスプレイ」兵員輸送・降下用機の運用基地を、高江に「ヘリバッド」と称して作ることにしたわけである。

 今は、新基地反対と言うことで、一緒に語られることの多い、辺野古と高江だが、その大本は違う理由とニーズから来ているのだと思う。
 しかし、イスラムとの戦争に事実上失敗した「戦争屋」ブッシュが、次に米軍再編で思い描いたのは、勃興する中国への攻撃が可能な態勢を持つことであり、そのために、沖縄は、中国の腹に食い込む位置にある、理想的な前線基地だったのである。
 だから、ブッシュも、アーミテージも、今の国防長官(共和党)のゲイツも、沖縄からアメリカが引くことは全く眼中になく、いかに日本に「思いやり予算」で、基地整備費を出させたうえで、自分たちの世界軍事支配の構想の一部にしようとしたのであろう。
 同時に、アメリカ軍陸軍第一軍の司令部が神奈川県の座間キャンプに移転されることが決まったのも、ブッシュ政権下でのことだった。

 軍事的分析は後に回すとしても、ブッシュ政権下では、辺野古への基地建設、高江への基地建設、陸軍の司令部機能の「進駐」、海兵隊グァム移転費用のうち2兆円を日本が「思いやりで」負担、などという、客観的にみると、日本を最前線基地にして、しかもその整備費用まで日本に出させようと言う考えで、ブッシュの「米軍再編」は進んでいたのであった。

 長くなったので、今日はこの辺で終わるが、政権が、「戦争屋」ブッシュから、より穏健、かつ親中国の立場の民主党オバマ政権に代わったことにより、微妙な変化が生じつつあることを見逃してはならない。その一例が、座間への陸軍第一軍の司令部移転をアメリカ側の意向で中止したことがある(キチガイ・マスコミはこのことをごく小さくしか報道しなかった)。

 次に、なぜ、日本の保守系マスコミが、かくもキチガイのように騒ぐかと言うと、そこには、表面上の数字だけで2兆円のグァムも含めた日本周辺の米軍再編費用の日本負担分への利権に、自民党と財界が深く食い込んでいることに理由があるのだと思われる。周辺自治体の道路建設や、騒音対策を入れれば、金額は果てしなく広がっていくだろう。
 辺野古移設が無くなれば、高江のヘリバッド建設が無くなれば、2兆円のうち相当部分が不要になる。しかし、すでに今年初めには、グァムでの住宅建設に関する日本企業の応札が始まっている。
 グァムへの移転はあるだろう。しかし、辺野古を埋め立てる膨大な土砂と、基地建設のコンクリートは、移設先が国外や、国内の既存基地になると、雲散霧消する。

 マスコミは、自民党と、財界の代弁者、と考えると、今、アメリカ自身が何も言わず、特に問題視もせず、陸軍の司令部移転計画も白紙に戻した状態で、なぜにかほどにわめきたてるかが透けて見えてくるのではないかと思う。

 今日はこの程度で。